ど田舎から始めるWeb制作会社戦記  ~このページは99%ファンタジーです~

第6話 第二開発部部長兼取締役は生まれ変わった

佐渡島には200を超える寺があり、同じく200を超える神社があることは意外に知られていない。
この島は祈りの島であり、その祈りは時に迷える存在をひきつける。
こんにちは。間違えて佐渡島に呼び出されてしまった精霊という設定のちほうタイガーです。

「…そういう設定だったとは…」

いやいや、結構この島に呼び寄せられてしまう存在は多いんですよ。バイストン・ウェルからファウ・ファウさんが来た件とか有名…ですよね…?

「…え…いや、日本人のほとんどは知らないと思うけど…
 ファウ・ファウさんというのも初耳です…」

…そうですか…まぁあれです…インタビューの為のプロローグです。同じく島に引き寄せられた存在ですよねという話で次につなげようとしただけで…

「はぁ…確かにこの島に引き寄せられたという意味ではその通りですけど」

第1話の彼から第5話の彼女までは全員佐渡島出身者でしたが、ここに来てようやくのIターン者ですからね。それで、どうしてこの島に流されてきたんです?

「いやいや、流人じゃないから。流されてきたというより、元々佐渡島が好きでよく来てました。この会社に転職する前からWeb系を渡り歩いていたので、自分で佐渡島の観光情報サイトなどを制作したりしてました」

つまり自発的に流れてきたというわけですね。しかし職場としては転職に値する会社ではないような…どうしてまたこんなど田舎のWeb制作会社に転職をしたのです?

「いやいや、一応フォローしておくと、この会社はWeb制作会社のなかではホワイトなので。少なくとも自分が経験した他のWeb制作会社はもっと大変だったから。あと人間関係も普通はもっと擦り減るから」

ちなみに、この会社に転職する前は何社ほど経験されたのかお聞きしても…

「えーっと、確か8社、いや9社だったかな…」

………
この会社に普通の人間が居ないことはわかっていたことじゃないか…
だが一言だけ言わせて欲しい。
よく採用されましたね。

「きっかけはなんだったかな…とにかく第1話の彼と新潟で飲む機会があって…その時に、いつの間にか人生相談っぽくなってしまって…『給料超安いけど佐渡島来る?』と聞かれて、その場で『行きます』と言ってしまった感じだったと思う」

あー想像できる、想像できますけど…よく飲みの場で決心しましたね。

「その頃少し悩んでいて…Web系の仕事は続けていたけれど、このままでは未来は無いのではないかと…今思えばWordPressを少し使えるだけでひたすらテンプレート的なWebサイトを量産していただけだったし…新しい技術に挑戦できる環境でもなかったし…あとはいずれは佐渡に住みたいと思ってたのもあったので…かな…」

それで、佐渡に移住してみて期待通りの人生を送ってますか。

「正直言って思ってたのと違う面はあります。最初は割と大きいWeb制作会社でコーディングリーダーを努めた経験もあったので仕事は余裕でこなせると思っていたし、古民家を買って自分で手を加えてスローライフしながら暮らしているようなイメージだったんですが…」

ですが…?

「実際にはそれまで培ってきた技術が通用しなくて本当に大変だったり…住んでいる家だって都会の郊外にあるような注文住宅を建ててしまったし、住宅ローンを背負ってしまったし、毎日仕事には追われているし、新しい技術への挑戦指令が第1話の彼からよく降ってくるし…」

世知辛い世の中ですなぁ…

「いやいや、でもちゃんと前向きに佐渡生活を楽しんでますよ。朝早起きして島の絶景を巡って写真をとってから出社したり、休みの日は山や海に行ってボーっとしたり」

ちょっと前に流行ったエクストリーム出社ってやつですね…それで大自然のなかでボーっと何を考えたりしてるんです?

「住宅ローンを早めに返すにはどうしたらいいかとか…」

世知辛ぇ……最後にこの会社でやってみたいこととかありますか。

「はぁ…この会社も毎年良くはなっていると思うけど、更に良くしたいです。
 まだまだ残業があるので減らしたいし、その為には人を雇って効率的に教育できる仕組みを構築しないと。
 それにいずれは会社でCSR的に農業とかにも挑戦したいし…佐渡をITの島に出来たらおもしろいなとは思います」

ITの島はともかく…農業は第1話の彼に承諾させるのは困難では…
言ってみたことありますか…?

「『CSRに取り組めるようにお金を稼いでくれ』とだけ…」

…ガンバッテください…

ヤスシ.A

取締役

ヤスシ.A

属性
暗黒属性
種族
召喚者属
称号
住宅ローンの僕
フレーバーテキスト
彼は異世界佐渡島に召喚されてしまった迷い人である。異世界にて自らの人生の再生に取り組み続けているが、希望する「癒し」はもたらされないだろう。癒しは彼の心のうちにあるからである。