【2024年11月版】Firelight Lightboxのバージョンと脆弱性情報

皆さんこんにちは。taneCREATIVEの「ちほうタイガー」です。
この記事は2024年11月12日に執筆しています。

今回はFirelight Lightboxのバージョンと脆弱性への対応状況についてまとめてみたいと思います。

Firelight Lightbox(旧名:Easy Fancybox)は、WordPressサイトにおいて、画像、動画、地図、PDFなどのコンテンツを拡大表示するライトボックスプラグインであり、FirelightWPによって開発・サポートされています。

WordPressのPlugin Directoryの統計情報によると、アクティブインストールは20万以上、総ダウンロード数655万回以上を計測しており、人気のあるプラグインの一つと言ってよいでしょう。

一方で、人気のあるプラグインであるため、攻撃対象になりやすい側面もあります。

そこで、この記事では、企業のWeb担当の皆様に向けて、Firelight Lightboxの概要並びに、脆弱性及びその対応状況をご紹介することで、Firelight Lightboxを安心して使用していただけるようにしたいと思います。

少しでも皆様のお役に立てる記事にできればと思います。
どうぞよろしくお願い致します。

Firelight Lightboxとは

前述の通り、Firelight Lightboxは、FirelightWPによって開発・サポートが継続されている、オープンソースのWordPress向けプラグインです。

このプラグインを使用すると、画像、動画、PDF、地図、モーダルウィンドウなど、多様なメディアコンテンツをライトボックス(クリックしたときに画面が切り替わらず、同じ画面上に拡大画像を表示する機能)を簡単に実装できます。

実際のところ、当社のようなWeb制作会社の場合、Firelight Lightboxの無料版を利用することはあまりありません。
ライトボックス機能は自社でコーディングすることが可能ですし、プラグインを入れればプラグイン同士の干渉による不具合や、意図しないパフォーマンスの低下が発生する確率が高まります。
セキュリティ保守の観点からは、できるだけプラグインの数を増やしたくないという理由もありますし、最近脆弱性が見つかっている点も使用しにくい点です。

しかしながら、当社がこれまでに保守を引き受けたWordPressサイトには、Firelight Lightboxが使用されていたことはあります。

日本国内では多く使用されているプラグインの一つという印象です。

Firelight Lightboxの機能

画像のライトボックス表示 ページ内の画像をライトボックス形式で表示することができます。
ユーザーが画像をクリックすると、背景が暗くなり画像が中央に大きく表示される他、キャプションを設定することもできます。
動画のライトボックス表示 YouTubeやVimeoなどの外部動画プラットフォームからの埋め込み動画もライトボックス内に表示できます。
埋め込みコードを簡単に設定できます。
PDFのライトボックス表示 PDFファイルをライトボックス内で表示することができます。
スクロール機能がサポートされてライトボックス内で閲覧することができます。

開発・アップデートの継続

前述のように、有名なプラグイン(ダウンロード数が多いプラグイン)は、攻撃のターゲットとして狙われやすいという側面があります。

当社では、WordPress自体は非常に堅牢なCMSであり、バージョンアップをしっかりと行えば大きな侵入のリスクは少ないと考えています。
実際に、WordPress本体(コア)の脆弱性の数はプラグインやテーマに比べて少なく、特に最近では緊急レベルの脆弱性報告は減少しています。
※詳細は、当社が公表しているWordPressの脆弱性情報一覧を参照してください。

一方で、膨大な数のプラグインやアドオンが存在し、それらの脆弱性を狙った攻撃が増加しています。
※「20 WordPress Statistics You Should Know in 2023」によれば、WordPressに関連する脆弱性の約90%はプラグインに、6%はテーマに、残りの4%はWordPressコアに起因しているとのことです。

特に、Firelight Lightboxのようなダウンロード数の多いプラグインは、多くのユーザーに利用されているため狙われやすい傾向にあります。
そのため、当社では、脆弱性に対する対応が遅い、もしくは対応しないプラグインは、クライアントに推奨していません。

Firelight Lightboxは定期的にアップデートされ、脆弱性が迅速に修正されているため、問題ないと考えておりますが、2024年10月24日に、脆弱性に関するCVE番号が採番されていますので、バージョン2.3.3以下をご利用になられている場合には、最新バージョンへのアップデートを推奨いたします。

Firelight Lightboxのバージョン情報に関するポイント

公式サイトに直接的な記載は見つけることができませんでしたが、Firelight Lightboxでは、一般的なセマンティックバージョニングが採用されているようです。
3つの数字の左から「メジャーバージョン.マイナーバージョン.パッチバージョン」となります。

なお、古いバージョンでは4桁目の数字がありますが、特定の修正や微細な更新を示すために4桁目を追加したものと考えられます。

2024年11月12日現在、Firelight Lightboxの最新バージョンは2.3.5であり、WordPress6.7までテストされています。

通常のオープンソースソフトウェアでは、公式のサポート(新機能の追加、不具合の改修、セキュリティパッチの提供)対象は最新パッチバージョンのみであることから、最新パッチバージョンへのアップデートを推奨いたします。

バージョン2.3.3以下には既知の脆弱性があるため、最新のパッチバージョンへのアップデートを実施してください。

Firelight Lightboxのバージョン情報

2024年11月12日現在での、Firelight Lightboxのバージョン情報は次の通りです。

バージョン リリース日 サポート期限 修正された脆弱性
2.3.5 2024年10月28日 サポート中
2.3.4 2024年10月1日 2024年10月28日 CVE-2024-50460
2.3.3 2024年9月5日 2024年10月1日
1.8.18 2019年9月16日 2022年10月13日 CVE-2019-16524

※上記の内容は、WordPress公式サイト開発ログの情報を正として、バージョン2.3.3までを掲載しています。また、2.3.3以下のバージョンについては、下記脆弱性が修正されたバージョンを追記しています。
※バージョン2.3.3以下には既知の脆弱性が存在するため、グレーにしています。

Firelight Lightboxの脆弱性情報

Firelight Lightboxの最新バージョンは2.3.5であり、当社が把握している全ての脆弱性に修正対応済みとなっています。

また、Firelight Lightbox 2.3.3以下のバージョンをご使用の場合には、既知の脆弱性が存在している可能性がありますので、最新バージョンへとアップデートをしてください。

なお、Firelight Lightbox自体に関する脆弱性情報で、当社が把握しているものは次の通りです。

脆弱性情報 深刻度 影響を受けるバージョン 修正されたバージョン
CVE-2024-50460
CVE-2024-50460 Detail
CVSS v3
6.4 (警告)
・Firelight Lightbox 2.3.3までのバージョン ・Firelight Lightbox 2.3.4
CVE-2019-16524
JVNDB-2019-009973
CVSS v3
4.8 (警告)
・Easy Fancybox 1.8.17までのバージョン ・Easy Fancybox 1.8.18

※脆弱性情報については、情報セキュリティにおける脆弱性情報に付けられている番号であるCommon Vulnerabilities and Exposures(本記事では「CVE」とします)の順序に従って掲載しています。
※深刻度については、共通脆弱性評価システムCVSS v3に基づいています。本記事では、CVSS v3にて緊急(9.0~10.0)、重要(7.0~8.9)、警告(4.0~6.9)に区分されるもののみを掲載しており、その他の情報については、JVN iPediaなどでご確認ください。CVSS v3の適用前の脆弱性情報についてはCVSS v2に基づいて記載しています。
※深刻度の数値はJapan Vulnerability Notes(本記事では「JVN」とします)及び、JVNが評価を合わせている米国国立標準技術研究所(NIST)が運営する脆弱性データベースであるNational Vulnerability Database(以下「NVD」)や独立行政法人情報処理推進機構(以下「IPA」)に準拠していますが、NVD、IPAにてスコアリングされていない場合には、Wordfenceのスコアに準拠しています。
※Easy FancyboxはFirelight Lightboxの旧名であり、同一のプラグインです。
※本記事における脆弱性情報は、Firelight Lightbox無料版に関するもので、Firelight Lightbox有料版(PRO)に関するものは掲載しておりません。
※本記事における脆弱性情報は、当社が把握しているものだけであり、全ての脆弱性情報を網羅できているかはわかりません。
※本記事における脆弱性情報をご利用になる場合には、必ずCVE、JVN、NVD、Wordfenceなどの情報を確認されたうえで、自己責任でご利用ください。

Firelight Lightboxのバージョンアップを継続する体制について

前述のように、Firelight Lightboxは人気のあるプラグインであり、日本国内でも利用者は多数いるものと推察されます。

しかしながら、Firelight Lightbox自体のバージョンアップをしようと思っても、WordPressやPHPのバージョンアップが必要であったり、設定が複雑であるなどの問題に直面することもあるかと思います。

taneCREATIVE社は、「リモートによるWebアプリケーションのセキュリティ対策をパッケージ化、首都圏大手企業に提供」している点が評価され、2021年にJ-Startup NIIGATAに選定されているWeb制作会社で、Firelight LightboxとWordPressはもちろんのこと、PHP、MySQL、MariaDBについても知見を有しています。

※「J-Startup NIIGATA」とは、経済産業省が2018年に開始したJ-Startupプログラムの地域版として、新潟発のロールモデルとなるスタートアップ企業群を明らかにし、官民連携により集中的に支援する仕組みを構築することで、新潟県におけるスタートアップ・エコシステムを強化する取組です。

Firelight Lightboxを使用したWebサイト制作やアップデートを含む保守管理に関しては、こちらのお問合せよりお気軽にご相談ください。

この記事を書いた存在
ちほうタイガー

taneCREATIVEに所属する謎のトラ。