【2024年9月版】AlmaLinuxのバージョン情報とサポート期限

皆さんこんにちは。taneCREATIVEの「ちほうタイガー」です。
この記事は2024年9月9日に執筆しています。

今回はAlmaLinux(アルマリナックス)OSのバージョン情報とサポート期限についてまとめてみたいと思います。

AlmaLinux OSはRed Hat Enterprise Linux(以下「RHEL」とします)とのバイナリレベルでの互換を目指しているLinuxディストリビューション(Linuxカーネルとその他ソフトウェア群を1つにまとめたもの)で、AlmaLinux OS Foundationによって管理されている無料のオープンソースOSです。

Webサイト、Webシステムの分野で圧倒的に採用されていたCentOS 7のサポートが、2024年6月30日をもって完全に終了したことで、Web制作の現場ではCentOS 7に変わるOSとして利用が広まってきています。

安全で円滑なWebサイトの運用のためには、OSについても最新バージョンへのアップデートが欠かせません。
一方で、不用意なアップデートでWebサイト・Webシステムが正常に挙動しなくなるといった不具合も起こりかねません。

この記事では、企業のWeb担当者である皆様に向けて、AlmaLinux OSのバージョン情報とサポート期限についてまとめてみたいと思います。

少しでも皆様のお役に立てる記事にできればと思います。どうぞよろしくお願い致します。

AlmaLinux OSのバージョン情報に関するポイント

2024年9月9日現在、AlmaLinux OSの最新バージョンはAlmaLinux 9系統です(最終バージョンは9.4です)。

AlmaLinux 8についても、フルサポートは終了していますが、メンテナンスサポートは2029年3月1日まで継続されます(最終バージョンは8.10です)。

AlmaLinux OSについては、9系統はもちろん8系統であっても、しばらくはセキュリティサポートの終了を心配する必要はなさそうですが、最新バージョンにする必要がある点に注意が必要です。

AlmaLinux OSのリリース日とサポート期限

AlmaLinux OSの各バージョンは、RHELと同様にリリース日から10年間のサポートが提供されます。

フルサポート期限とは、AlmaLinux OSの各バージョンに関して、新しい機能が追加される最後の期限を指します。この期間中には、新機能の追加や改善が行われたり、バグ修正が行われます。また、当然ながらセキュリティパッチも提供されます。

メンテナンスサポート期限とは、AlmaLinux OSの各バージョンに関して、セキュリティ関連のアップデートが提供される最後の期間を指します。
前述のように、アクティブサポート期間中にはセキュリティサポートも提供されますが、アクティブサポート終了後、セキュリティサポート終了期限までの期間は、基本的に重大なセキュリティホールに関するパッチのみが提供され、新機能の追加等は行われません。

なお、AlmaLinuxはRHELとは異なり、新しいバージョンがリリースされると、古いバージョンについてはサポート終了になります。
例えば、AlmaLinux 9系統では9.4のみが公式サポートの対象となっており、9.3以下の公式サポートは終了しています。
同様に、AlmaLinux 8系統では8.10のみが公式サポートの対象となっており、8.9以下の公式サポートは終了しています。

AlmaLinux OSのバージョン リリース日 フルサポート終了日 メンテナンスサポート終了日 最新バージョン
AlmaLinux 9 2022年5月26日 2027年5月31日 2032年5月31日 9.4
2024年5月6日
AlmaLinux 8 2021年3月30日 2024年5月1日 2029年3月1日 8.10
2024年5月28日

AlmaLinux OSの脆弱性情報

AlmaLinux OSは、RHELのフォークであるため、RHELで発見された脆弱性はAlmaLinuxにも影響を与える場合があることが特徴です。
基本的に、最新バージョンにアップデートできていれば解決していますが、詳細を知りたい場合には、公式のセキュリティアップデートリリースをご確認ください。

AlmaLinux OSはRed Hat社との契約上問題はないのか?

前述のように、AlmaLinux OSはRHELとのバイナリレベルでの互換を目指しているLinuxディストリビューションであり、現在ではRHELの(クローンOSではなく)フォークであると当社では定義していますが、稀にクライアントから「RHELの開発元であるRed Hat社が契約上クローンを禁止したという情報がある。後々トラブルになる可能性があるのでは?」と聞かれることがあるため、解説しておきます。

まず、AlmaLinux OSは、開発当初、CentOSの後継OSとしてRHELとの完全互換(クローンOS)を目指していました。

しかしながら、RHELの開発元であるRed Hat社は、「2023年6月以降、RHELのソースコードの公開リポジトリをCentOS Streamのみにする」ことを発表したことに対応して、AlmaLinux OS Foundationとしては、AlmaLinux OS の方針をRHELとのバイナリレベルでの互換を目指すことに変更したという事実があります。

ここで、Red Hat社の名誉のために補足しておくと、当社の調査では、「Red Hat社がRHELのソースコードからクローンOSやフォークを配布することを契約上禁止した」という事実は確認できていません。

もし契約上クローンOSが禁止されるならば、AlmaLinux OS自体が法的に致命的な問題を抱えていることになる可能性がありますが、Red Hat社は、RHELのバイナリをそのまま再配布することには制限を課していますが、合法的に入手したソースコードを改変して再配布することには制限を課していません。
しかしながら、RHELのソースコードの公開が、RHELのアップストリーム(ここでは先にリリースされる開発版程度の認識で大丈夫です)であるCentOS Streamのみとなったことで、RHELと同一のソースコードを合法的に取得できず、完全互換のクローンOSを目指すことが事実上困難になったということであると当社では理解しています。

そのため、AlmaLinux OSの使用自体については、少なくともRed Hat社の契約関係で問題はないが、AlmaLinuxは、もはやRHELとの正確な互換性を目指さず、いわゆるRHELのフォークとしての道を歩み始めているというのが当社の見解です。

CentOSからAlmaLinux OSないしRocky Linuxへの移行に関してはご相談ください

OSの変更は、ほぼ全てのアプリケーションに影響を与えます。
しかし、シンプルなWebサイト環境であれば、CentOS 7からAlmaLinux OSに変更してもそのまま動く可能性も十分にあります。
その場合コストを抑えることができますので、こちらのお問い合わせよりお気軽にご相談ください。

当社に関して

taneCREATIVE社は、「リモートによるWebアプリケーションのセキュリティ対策をパッケージ化、首都圏大手企業に提供」している点が評価され、2021年にJ-Startup NIIGATAに選定されています。

※「J-Startup NIIGATA」とは、経済産業省が2018年に開始したJ-Startupプログラムの地域版として、新潟発のロールモデルとなるスタートアップ企業群を明らかにし、官民連携により集中的に支援する仕組みを構築することで、新潟県におけるスタートアップ・エコシステムを強化する取組です。

この記事を書いた存在
ちほうタイガー

taneCREATIVEに所属する謎のトラ。