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皆さんこんにちは。taneCREATIVEの「ちほうタイガー」です。
この記事は2024年10月21日に執筆しています。
今回はAll in One SEOのバージョンと脆弱性への対応状況についてまとめてみたいと思います。
All in One SEOは、WordPressサイトでの検索エンジン最適化対策(SEO対策)を簡単に行うことができるプラグインであり、Awesome Motive社に所属するAll in One SEO Teamによって開発・サポートされています。
WordPressのPlugin Directoryの統計情報によると、アクティブインストールは300万以上、総ダウンロード数1億6190万回以上を計測しており、世界でも有名なプラグインの一つと言ってよいでしょう。
一方で、有名なプラグインであるため、攻撃対象になりやすい側面もあります。
そこで、この記事では、企業のWeb担当の皆様に向けて、All in One SEOの概要並びに、脆弱性及びその対応状況をご紹介することで、All in One SEOを安心して使用していただけるようにしたいと思います。
少しでも皆様のお役に立てる記事にできればと思います。
どうぞよろしくお願い致します。
前述の通り、All in One SEOは、Awesome Motive社に所属するAll in One SEO Teamによって開発・サポートが継続されている、オープンソースのWordPress向けプラグインです。
このプラグインを使用することで、WordPressサイトでの基本的な検索エンジン最適化対策(SEO対策)を簡単に行うことができます。
実際のところ、当社のようなWeb制作会社の場合、All in One SEOを利用することはあまりありません。
クライアントの要望に応えるにはAll in One SEOの無料版でできることは制限的ですし、脆弱性が定期的に数多く見つかっている点もお勧めしにくい点です。
また、セキュリティ保守の観点からは、できるだけプラグインの数を増やしたくないという理由もあります。
しかしながら、下記機能を直感的に簡単に使用できることから、当社がこれまでに保守を引き受けたWordPressサイトは、All in One SEO が使用されていたことは数多くあります。
日本国内では特に多く使用されているプラグインの一つです。
タイトルとディスクリプションの設定 |
各ページや投稿に対して個別のタイトルやメタディスクリプションを設定できます。 これにより、メインキーワードとサブキーワードを意識したタイトルを設定することはSEO対策として重要ですし、メタディスクリプションをしっかりと記載することで、クリック率(CTR)を向上させることができます。 |
XMLサイトマップの生成 |
検索エンジンがウェブサイトの構造を理解しやすくするためのXMLサイトマップを生成します。 このXMLサイトマップをGoogleやBingなどの検索エンジンに送信することで、検索エンジンが適切にインデックスすることを促がすことができるほか、クロールが増えることでSEO面でもプラスとなります。 |
OGP設定 |
WebサイトのコンテンツがFacebook、XなどのSNSでどのように表示されるかを制御できます。 各ページや投稿に対してOGP(Open Graph Protocol、SNSに投稿された際に表示されるタイトルや画像、説明文などを指定するメタデータ)を設定することで、SNSでの表示が最適化され、ユーザーのクリック率を向上させることができます。 |
noindexの設定 | noindexを設定することで404エラーページを検索結果に表示させないようにすることができます。 |
Google Analytics 4のトラッキングコード設定 |
Google Analytics 4(GA4)のトラッキングコードを簡単に設定できる機能です。 この機能を使えば、GA4のトラッキングID(Measurement ID)を入力するだけで、サイトにトラッキングコードを追加できます。 |
前述のように、有名なプラグイン(ダウンロード数が多いプラグイン)は、攻撃のターゲットとして狙われやすいという側面があります。
当社では、WordPress自体は非常に堅牢なCMSであり、バージョンアップをしっかりと行えば大きな侵入のリスクは少ないと考えています。
実際に、WordPress本体(コア)の脆弱性の数はプラグインやテーマに比べて少なく、特に最近では緊急レベルの脆弱性報告は減少しています。
※詳細は、当社が公表しているWordPressの脆弱性情報一覧を参照してください。
一方で、膨大な数のプラグインやアドオンが存在し、それらの脆弱性を狙った攻撃が増加しています。
※「20 WordPress Statistics You Should Know in 2023」によれば、WordPressに関連する脆弱性の約90%はプラグインに、6%はテーマに、残りの4%はWordPressコアに起因しているとのことです。
特に、All in One SEOのようなダウンロード数の多いプラグインは、多くのユーザーに利用されているため狙われやすい傾向にあります。
そのため、当社では、脆弱性に対する対応が遅い、もしくは対応しないプラグインは、クライアントに推奨していません。
All in One SEOは定期的にアップデートされ、脆弱性が迅速に修正されているため、問題ないと考えております。
公式サイトに直接的な記載はありませんが、All in One SEOは、通常のセマンティックバージョニングに準拠し、左からメジャーバージョン、マイナーバージョン、パッチバージョンの3つの数字で構成されています。
なお、一部のバージョンでは4桁目の数字が追加されていますが、これがセマンティックバージョニングの定義に従ったビルドメタデータなのか、独自のバージョニング方式なのかは不明です。
2024年10月21日現在、All in One SEOの最新バージョンは4.7.3であり、WordPress6.6.2までテストされています。
通常のオープンソースソフトウェアでは、公式のサポート(新機能の追加、不具合の改修、セキュリティパッチの提供)対象は最新パッチバージョンのみであることから、最新パッチバージョンへのアップデートを推奨いたします。
バージョン4.6.0以下には既知の脆弱性があるため、最新のパッチバージョンへのアップデートを実施してください。
2024年10月21日現在での、All in One SEOのバージョン情報は次の通りです。
バージョン | リリース日 | サポート期限 | 修正された脆弱性 |
4.7.3 | 2024年10月11日 | サポート中 | - |
4.7.2 | 2024年9月30日 | 2024年10月11日 | - |
4.7.1.1 | 2024年9月13日 | 2024年9月30日 | - |
4.7.0 | 2024年8月30日 | 2024年9月13日 | - |
4.6.9.1 | 2024年8月15日 | 2024年8月30日 | - |
4.6.9 | 2024年8月15日 | 2024年8月15日 | - |
4.6.8.1 | 2024年8月1日 | 2024年8月15日 | - |
4.6.7.1 | 2024年7月18日 | 2024年8月1日 | - |
4.6.6 | 2024年7月5日 | 2024年7月18日 | - |
4.6.5 | 2024年6月20日 | 2024年7月5日 | - |
4.6.4 | 2024年6月6日 | 2024年6月20日 | - |
4.6.3 | 2024年5月23日 | 2024年6月6日 | - |
4.6.2 | 2024年5月3日 | 2024年5月23日 | - |
4.6.1.1 | 2024年4月18日 | 2024年5月3日 |
CVE-2024-3554 CVE-2024-3368 |
4.6.0 | 2024年4月4日 | 2024年4月18日 | - |
4.3.0 | 2023年2月2日 | 2023年2月16日 | CVE-2023-0586 CVE-2023-0585 |
4.2.6 | 2022年10月11日 | 2022年11月8日 | CVE-2022-42494 |
4.2.4 | 2022年8月16日 | 2022年9月13日 | CVE-2022-38093 |
4.1.5.3 | 2021年12月7日 | 2022年1月11日 | CVE-2021-25037 CVE-2021-25036 |
4.1.0.2 | 2021年4月27日 | 2021年5月20日 | CVE-2021-24307 |
3.6.2 | 2020年7月15日 | 2020年8月20日 | CVE-2020-35946 |
3.2.7 | 2019年9月10日 | 2019年9月23日 | CVE-2019-16520 |
2.10 | 2018年12月6日 | 2018年12月16日 | Wordfence |
2.3.8 | 2016年7月12日 | 2016年8月15日 | Wordfence |
2.3.7 | 2016年7月8日 | 2016年7月12日 | Wordfence |
2.2.6.2 | 2015年4月20日 | 2015年6月4日 | Wordfence |
2.2.6 | 2015年3月23日 | 2015年3月24日 | CVE-2015-0902 |
2.2.5 | 2015年1月23日 | 2015年3月23日 | Wordfence |
2.1.6 | 2014年5月31日 | 2014年7月15日 | Wordfence Wordfence |
2.0.4 | 2013年10月9日 | 2013年11月15日 | CVE-2013-5988 |
※上記の内容は、WordPress公式サイトの開発ログの情報を正として、バージョン4.6.0までを掲載しています。また、それ以前のバージョンについては、下記脆弱性が修正されたバージョンを追記しています。
※バージョン4.6.0以下には既知の脆弱性が存在するため、グレーにしています。
All in One SEOの最新バージョンは4.7.3であり、当社が把握している全ての脆弱性に修正対応済みとなっています。
また、All in One SEO 4.6.0以下のバージョンをご使用の場合には、既知の脆弱性が存在する可能性がありますので、最新バージョンへとアップデートをしてください。
特にバージョン4.1.5.2以下をご使用の場合には重要レベルの脆弱性がありますので、最新バージョンへのアップデートを強く推奨いたします。
なお、All in One SEO自体に関する脆弱性情報で、当社が把握しているものは次の通りです。
脆弱性情報 | 深刻度 | 影響を受けるバージョン | 修正されたバージョン |
CVE-2024-3554 CVE-2024-3554 Detail |
CVSS v3 6.4 (警告) |
・All in One SEO 4.6.0までのバージョン | ・All in One SEO 4.6.1.1 |
CVE-2024-3368 CVE-2024-3368 Detail |
CVSS v3 6.4 (警告) |
・All in One SEO 4.6.0までのバージョン | ・All in One SEO 4.6.1.1 |
CVE-2023-0586 JVNDB-2023-005026 |
CVSS v3 5.4 (警告) |
・All in One SEO 4.2.9までのバージョン | ・All in One SEO 4.3.0 |
CVE-2023-0585 JVNDB-2023-004577 |
CVSS v3 4.8 (警告) |
・All in One SEO 4.2.9までのバージョン | ・All in One SEO 4.3.0 |
CVE-2022-42494 JVNDB-2022-020530 |
CVSS v3 6.5 (警告) |
・All in One SEO 4.2.5.1までのバージョン | ・All in One SEO 4.2.6 |
CVE-2022-38093 JVNDB-2022-016285 |
CVSS v3 8.8 (重要) |
・All in One SEO 4.2.3.1までのバージョン | ・All in One SEO 4.2.4 |
CVE-2021-25037 JVNDB-2021-017860 |
CVSS v3 6.5 (警告) |
・All in One SEO 4.1.3.1から4.1.5.2までのバージョン | ・All in One SEO 4.1.5.3 |
CVE-2021-25036 JVNDB-2021-017864 |
CVSS v3 8.8 (重要) |
・All in One SEO 4.0.0から4.1.5.2までのバージョン | ・All in One SEO 4.1.5.3 |
CVE-2021-24307 JVNDB-2021-007283 |
CVSS v3 8.8 (重要) |
・All in One SEO 4.1.0.1までのバージョン | ・All in One SEO 4.1.0.2 |
CVE-2020-35946 JVNDB-2020-015287 |
CVSS v3 5.4 (警告) |
・All in One SEO Pack 3.6.1までのバージョン | ・All in One SEO Pack 3.6.2 |
CVE-2019-16520 JVNDB-2019-010984 |
CVSS v3 5.4 (警告) |
・All in One SEO Pack 3.2.6までのバージョン | ・All in One SEO Pack 3.2.7 |
Wordfence | CVSS v3 6.4 (警告) |
・All in One SEO Pack 2.9.1.1までのバージョン | ・All in One SEO Pack 2.10 |
Wordfence | CVSS v3 7.2 (警告) |
・All in One SEO Pack 2.3.7までのバージョン | ・All in One SEO Pack 2.3.8 |
Wordfence | CVSS v3 7.2 (警告) |
・All in One SEO Pack 2.3.6.1までのバージョン | ・All in One SEO Pack 2.3.7 |
Wordfence | CVSS v3 6.1 (警告) |
・All in One SEO Pack 2.2.6.1までのバージョン | ・All in One SEO Pack 2.2.6.2 |
CVE-2015-0902 JVNDB-2015-000046 |
CVSS v3 5.0 (警告) |
・All in One SEO Pack 2.2.5.1までのバージョン | ・All in One SEO Pack 2.2.6 |
CVE-2013-5988 JVNDB-2013-007210 |
CVSS v3 6.1 (警告) |
・All in One SEO Pack 2.0.3までのバージョン | ・All in One SEO Pack 2.0.4 |
Wordfence | CVSS v3 6.4 (警告) |
・All in One SEO Pack 2.1.5までのバージョン | ・All in One SEO Pack 2.1.6 |
Wordfence | CVSS v3 6.3 (警告) |
・All in One SEO Pack 2.1.5までのバージョン | ・All in One SEO Pack 2.1.6 |
Wordfence | CVSS v3 4.3 (警告) |
・All in One SEO Pack 2.2.4.1までのバージョン | ・All in One SEO Pack 2.2.5 |
※脆弱性情報については、情報セキュリティにおける脆弱性情報に付けられている番号であるCommon Vulnerabilities and Exposures(本記事では「CVE」とします)の順序に従って掲載しています。CVEの番号が採番されていない脆弱性情報については、Wordfenceなどの情報へのリンクを掲載しています。
※深刻度については、共通脆弱性評価システムCVSS v3に基づいています。本記事では、CVSS v3にて緊急(9.0~10.0)、重要(7.0~8.9)、警告(4.0~6.9)に区分されるもののみを掲載しており、その他の情報については、JVN iPediaなどでご確認ください。CVSS v3の適用前の脆弱性情報についてはCVSS v2に基づいて記載しています。
※深刻度の数値はJapan Vulnerability Notes(本記事では「JVN」とします)及び、JVNが評価を合わせている米国国立標準技術研究所(NIST)が運営する脆弱性データベースであるNational Vulnerability Database(以下「NVD」)や独立行政法人情報処理推進機構(以下「IPA」)に準拠していますが、NVD、IPAにてスコアリングされていない場合には、Wordfenceのスコアに準拠しています。
※CVE-2013-5988の修正されたバージョンについては、JVNでは2.0.3.1とされていますが、WordPress公式サイトの開発ログには該当バージョンが記載されていないため、次の2.0.4としています(2.0.4にsecurity fixesが含まれていることまでは確認済みです)。
※本記事における脆弱性情報は、All in One SEOに関するものを掲載しています。All in One SEO Packは、All in One SEOの旧名であり、同一のプラグインです。
※本記事における脆弱性情報は、当社が把握しているものだけであり、全ての脆弱性情報を網羅できているかはわかりません。
※本記事における脆弱性情報をご利用になる場合には、必ずCVE、JVN、NVDなどの情報を確認されたうえで、自己責任でご利用ください。
前述のように、All in One SEOは世界的に有名なプラグインであり、日本国内では特に多く使用されているプラグインの一つです。
しかしながら、All in One SEO自体のバージョンアップをしようと思っても、WordPressやPHPのバージョンアップが必要であったり、設定が複雑であるなどの問題に直面することもあるかと思います。
taneCREATIVE社は、「リモートによるWebアプリケーションのセキュリティ対策をパッケージ化、首都圏大手企業に提供」している点が評価され、2021年にJ-Startup NIIGATAに選定されているWeb制作会社で、All in One SEOとWordPressはもちろんのこと、PHP、MySQL、MariaDBについてもノウハウを有しています。
※「J-Startup NIIGATA」とは、経済産業省が2018年に開始したJ-Startupプログラムの地域版として、新潟発のロールモデルとなるスタートアップ企業群を明らかにし、官民連携により集中的に支援する仕組みを構築することで、新潟県におけるスタートアップ・エコシステムを強化する取組です。
All in One SEOを使用したWebサイト制作やアップデートを含む保守管理に関しては、こちらのお問合せよりお気軽にご相談ください。
taneCREATIVEに所属する謎のトラ。