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皆さんこんにちは。
taneCREATIVEの「ちほうタイガー」です。
この記事は2024年12月14日に執筆しています。
今回はAkismet Anti-Spamのバージョンと脆弱性への対応状況についてまとめてみたいと思います。
Akismet Anti-Spamは、WordPress向けの代表的なスパム対策プラグインであり、Automattic社によって開発・サポートされています。
WordPressのPlugin Directoryの統計情報によると、アクティブインストールは600万以上、総ダウンロード数3億3912万回以上を計測しており、世界で最も人気のあるプラグインの一つと言ってよいでしょう。
一方で、人気のあるプラグインであるため、攻撃対象になりやすい側面もあります。
そこで、この記事では、企業のWeb担当の皆様に向けて、Akismet Anti-Spamの概要並びに、脆弱性及びその対応状況をご紹介することで、Akismet Anti-Spamを安心して使用していただけるようにしたいと思います。
少しでも皆様のお役に立てる記事にできればと思います。
どうぞよろしくお願い致します。
前述の通り、Akismet Anti-Spamは、Automattic社によって開発・サポートが継続されている、オープンソースのWordPress向けプラグインです。
このプラグインを使用すると、コメントやコンタクトフォームへのスパム投稿検知・フィルタリングを簡単に実施することができます。
しかしながら、当社のようなWeb制作会社の場合、Akismet Anti-Spamを利用することはあまりありません。
Akismet Anti-Spamの無料版には非常に厳しい商用利用制限がかかっておりますし、そもそもAkismet Anti-Spamは一度スパムをWebサーバーに入れた上で、スパムを振り分けるプラグインであることから、多少なりともサーバーリソースを消費してしまいます。
もちろん、セキュリティ保守の観点からは、できるだけプラグインの数を増やしたくないという理由もあります。
このような理由により、reCAPTCHA(Google)などのCAPTCHA系サービスを利用する方が一般的ではないかと思います。
しかしながら、当社がこれまでに保守を引き受けたWordPressサイトには、Akismet Anti-Spamが使用されていたことはよくあります。
日本国内でも非常に多く使用されているプラグインの一つという印象です。
基本的なスパム判定機能 | フォームやコメントに投稿された内容を自動でスパム判定し、無意味または悪質なメッセージスパムフォルダに振り分けてくれる機能です。 |
誤判定のフィードバック |
管理者がスパムの判定ミスを修正することで、Akismetが学習し、判断精度が向上します。 この機能により、誤判定が減り、カスタマイズされたスパム判定が可能となります。 |
前述のように、有名なプラグイン(ダウンロード数が多いプラグイン)は、攻撃のターゲットとして狙われやすいという側面があります。
当社では、WordPress自体は非常に堅牢なCMSであり、バージョンアップをしっかりと行えば大きな侵入のリスクは少ないと考えています。
実際に、WordPress本体(コア)の脆弱性の数はプラグインやテーマに比べて少なく、特に最近では緊急レベルの脆弱性報告は減少しています。
※詳細は、当社が公表しているWordPressの脆弱性情報一覧を参照してください。
一方で、膨大な数のプラグインやアドオンが存在し、それらの脆弱性を狙った攻撃が増加しています。
※「20 WordPress Statistics You Should Know in 2023」によれば、WordPressに関連する脆弱性の約90%はプラグインに、6%はテーマに、残りの4%はWordPressコアに起因しているとのことです。
特に、Akismet Anti-Spamのようなダウンロード数の多いプラグインは、多くのユーザーに利用されているため狙われやすい傾向にあります。
そのため、当社では、脆弱性に対する対応が遅い、もしくは対応しないプラグインは、クライアントに推奨していません。
Anti-Spamは定期的にアップデートがされており、2024年12月14日現在、未修正の脆弱性は見つかっていないため、使用は問題ないと考えております。
公式サイトに直接的な記載は見つけることができませんでしたが、Akismet Anti-Spamでは、一般的なセマンティックバージョニングが採用されているようです。
3つの数字の左から「メジャーバージョン.マイナーバージョン.パッチバージョン」となります。
2024年12月1日現在、Akismet Anti-Spamの最新バージョンは5.3.5であり、WordPress 6.7.1までテストされています。
通常のオープンソースソフトウェアでは、公式のサポート(新機能の追加、不具合の改修、セキュリティパッチの提供)対象は最新パッチバージョンのみであることから、最新パッチバージョンへのアップデートを推奨いたします。
バージョン | リリース日 | サポート期限 | 修正された脆弱性 |
5.3.5 | 2024年11月18日 | サポート中 | - |
5.3.4 | 2024年11月18日 | 2024年11月18日 | - |
5.3.3 | 2024年7月10日 | 2024年11月18日 | - |
5.3.2 | 2024年3月21日 | 2024年7月10日 | - |
5.3.1 | 2024年1月17日 | 2024年3月21日 | - |
5.3 | 2023年9月14日 | 2024年1月17日 | - |
3.1.5 | 2015年10月13日 | 2015年12月14日 | CVE-2015-9357 |
2.0.2 | - | - | CVE-2007-2714 |
※上記の内容は、WordPress公式サイトの開発ログの情報を正として、バージョン5.3までを掲載しています。
※バージョン5.3未満については、下記脆弱性が修正されたバージョンを追記しています(バージョン2.0.2は開発ログでも追いかけることができなかったため、空欄にしています)。
※既知の脆弱性が存在バージョンはグレーにしています。
Akismet Anti-Spamの最新バージョンは5.3.5であり、当社が把握している全ての脆弱性に修正対応済みとなっています。
また、Akismet Anti-Spam 3.1.4以下のバージョンをご使用の場合には、既知の脆弱性が存在している可能性がありますので、最新バージョンへとアップデートをしてください。
なお、Akismet Anti-Spam自体に関する脆弱性情報で、当社が把握しているものは次の通りです。
脆弱性情報 | 深刻度 | 影響を受けるバージョン | 修正されたバージョン |
CVSS v3 6.1 (警告) |
Akismet 3.1.4までのバージョン | Akismet 3.1.5 | |
CVSS v2 10.0 (緊急) |
Akismet 2.0.1までのバージョン | Akismet 2.0.2 |
※脆弱性情報については、情報セキュリティにおける脆弱性情報に付けられている番号であるCommon Vulnerabilities and Exposures(本記事では「CVE」とします)の順序に従って掲載しています。
※深刻度については、共通脆弱性評価システムCVSS v3に基づいています。本記事では、CVSS v3にて緊急(9.0~10.0)、重要(7.0~8.9)、警告(4.0~6.9)に区分されるもののみを掲載しており、その他の情報については、JVN iPediaなどでご確認ください。
※深刻度の数値はJapan Vulnerability Notes(本記事では「JVN」とします)及び、JVNが評価を合わせている米国国立標準技術研究所(NIST)が運営する脆弱性データベースであるNational Vulnerability Database(以下「NVD」)や独立行政法人情報処理推進機構(以下「IPA」)に準拠しています。
※本記事における脆弱性情報は、Akismet Anti-Spam無料版についてのものであり、Akismet Anti-Spam有料版のものは含まれておりません。
※本記事における脆弱性情報は、当社が把握しているものだけであり、全ての脆弱性情報を網羅できているかはわかりません。
※本記事における脆弱性情報をご利用になる場合には、必ずCVE、JVN、NVD、Wordfenceなどの情報を確認されたうえで、自己責任でご利用ください。
前述のように、Akismet Anti-Spamは人気のあるプラグインであり、日本国内でも利用者は多数いるものと推察されます。
しかしながら、Akismet Anti-Spam自体のバージョンアップをしようと思っても、最新のWordPressで上手く動かなかったり、PHPのバージョンアップが必要であったり、設定が複雑であるなどの問題に直面することもあるかと思います。
taneCREATIVE社は、「リモートによるWebアプリケーションのセキュリティ対策をパッケージ化、首都圏大手企業に提供」している点が評価され、2021年にJ-Startup NIIGATAに選定されているWeb制作会社で、Akismet Anti-SpamとWordPressはもちろんのこと、PHP、MySQL、MariaDBについても知見を有しています。
※「J-Startup NIIGATA」とは、経済産業省が2018年に開始したJ-Startupプログラムの地域版として、新潟発のロールモデルとなるスタートアップ企業群を明らかにし、官民連携により集中的に支援する仕組みを構築することで、新潟県におけるスタートアップ・エコシステムを強化する取組です。
Akismet Anti-Spamを使用したWebサイト制作やアップデートを含む保守管理に関しては、こちらのお問合せよりお気軽にご相談ください。
taneCREATIVEに所属する謎のトラ。
2024年12月14日執筆