【2024年10月版】Jetpackのバージョンと脆弱性情報

皆さんこんにちは。taneCREATIVEの「ちほうタイガー」です。
この記事は2024年10月25日に執筆しています。

今回はJetpackのバージョンと脆弱性への対応状況についてまとめてみたいと思います。

Jetpackは、WordPressサイトのセキュリティ強化、パフォーマンス改善、サイト管理を一つに統合した多機能プラグインであり、Automattic社によって開発・サポートされています。

WordPressのPlugin Directoryの統計情報によると、アクティブインストールは400万以上、総ダウンロード数は4億2781万回以上を計測しており、世界でも有名なプラグインの一つと言ってよいでしょう。

一方で、有名なプラグインであるほど攻撃対象になるリスクもあるため、脆弱性への適切な対応が重要になります。
実際にJetpackの脆弱性は過去見つかっており、Automattic社によって迅速に対応しています。

この記事では、企業のWeb担当の皆様に向けて、Jetpackの概要並びに、脆弱性及びその対応状況をご紹介することで、Jetpackを安心して使用していただけるようにしたいと思います。

少しでも皆様のお役に立てる記事にできればと思います。
どうぞよろしくお願い致します。

Jetpackとは

前述の通り、Jetpackは、Automattic社によって開発・サポートされているオープンソースのWordPressプラグインです。

このプラグインを使用することで、WordPressサイトのセキュリティ強化、パフォーマンス改善、サイト管理を実現することができます。
Webサイトを運用する際に役立つ様々な機能がパッケージされたプラグインですが、どちらかと言えばGoogle Analytics 4の代わりにJetpackのサイト管理機能を使用する使い方が多いと思います。

実際のところ、当社のようなWeb制作会社の場合、Google Analytics 4とGoogle Search Consoleを基本分析ツールとするケースが多いため、Jetpackのようなプラグインを利用することはあまりありませんが、当社がこれまでに保守を引き受けたWordPressサイトには、Jetpackが使用されていたことがあります。

日本国内でも多く使用されているプラグインの一つといえるかと思います。

Jetpackの主な機能

セキュリティ強化 ・死活監視:サイトがダウンした場合、リアルタイムでメール通知を受け取ることができます。
・総当たり攻撃の防止: IPアドレスを基にして不正ログイン試行をブロックし、攻撃からサイトを守ります。
・プラグインの自動更新:WordPressにインストールされたプラグインを自動更新にすることができます(手動更新も選択可能)。
・安全な認証:WordPress.comを使用したログインにより、セキュリティを高めることができます。
・ログの保存:無料版では直近20件のセキュリティ関連イベントログにアクセスできます。
パフォーマンス改善 ・サイトアクセラレーター:画像や静的ファイルを、Jetpackのサーバーから高速配信を行うことでページの読み込みを速くします。
・Lazy Load機能:画面に表示されるタイミングでのみ画像を読み込むため、初期表示が迅速になり、特にモバイルデバイスでのパフォーマンスが向上します。
共有・トラフィック増加 ・パブリサイズ接続:記事を公開する際に、各種SNSにも自動で投稿できます。
・共有ボタン・いいねボタン:記事内にSNS共有ボタンやいいねボタンを設置可能です。
・関連記事:記事の下に関連記事を表示し、ユーザーの滞在時間を増やします。
・サイトマップ:XMLサイトマップを生成でき、検索エンジンのインデックス向上に寄与します。
統計・分析 サイトの基本的な分析機能です。訪問者数、ページビュー、検索エンジンからのトラフィック、人気の投稿やページなどのデータをリアルタイムで把握できます。
また、これらの統計データの表示は、WordPressの管理画面内に統合されており、外部サービスにアクセスする必要がありません。

開発・アップデートの継続

前述のように、世界的にも有名なプラグイン(ダウンロード数が多いプラグイン)は、攻撃のターゲットとして狙われやすいという側面があります。

当社では、WordPress自体は非常に堅牢なCMSであり、バージョンアップをしっかりと行えば大きな侵入のリスクは少ないと考えています。
実際に、WordPress本体(コア)の脆弱性の数はプラグインやテーマに比べて少なく、特に最近では緊急レベルの脆弱性報告は減少しています。
※詳細は、当社が公表しているWordPressの脆弱性情報一覧を参照してください。

一方で、膨大な数のプラグインやアドオンが存在し、それらの脆弱性を狙った攻撃が増加しています。
特に有名なプラグインは、多くのユーザーに利用されているため、脆弱性が発見された場合、そのプラグインを狙った攻撃が集中する可能性があります。
※「20 WordPress Statistics You Should Know in 2023」によれば、WordPressに関連する脆弱性の約90%はプラグインに、6%はテーマに、残りの4%はWordPressコアに起因しているとのことです。

そのため、当社では、脆弱性に対する対応が遅い、もしくは対応しないプラグインは、クライアントに推奨していません。

Jetpackについては、定期的にバージョンアップがなされており、また脆弱性が発見された場合には、Automattic社によって迅速に修正対応されていますので、2024年10月25日現在、セキュリティ面で問題はないと判断しております。

Jetpackのバージョン情報に関するポイント

公式サイトに直接的な記載はありませんでしたが(あるけど見つけられてないだけかも)、Jetpackには、一般的なセマンティックバージョニングが採用されているようです。
3つの数字の左から「メジャーバージョン.マイナーバージョン.パッチバージョン」となります。

2024年10月25日現在、Jetpackの最新バージョンは13.9.1であり、WordPress6.6.2までテストされています。

通常のオープンソースソフトウェアでは、公式のサポート(新機能の追加、不具合の改修、セキュリティパッチの提供)は最新パッチバージョンのみを対象としています。
Jetpackでは脆弱性への対応として過去のバージョンに関してもパッチバージョンの提供を行っていますが、Jetpackが旧バージョンの安全を保証しているわけではないと考えられますので、最新パッチバージョンへのアップデートを強く推奨いたします。

Jetpackのバージョン情報

2024年10月25日現在での、Jetpackのバージョン情報は次の通りです。

バージョン リリース日 サポート期限 修正された脆弱性
13.9.1 2024年10月14日 サポート中 Wordfence
Jetpack
13.9 2024年10月1日 2024年10月14日
13.4 2024年5月7日 2024年5月10日 CVE-2024-4392
12.8-a.3 2023年10月23日 2023年10月24日 CVE-2023-45050
12.7 2023年10月12日 2023年10月16日 CVE-2023-47788
CVE-2023-47774
12.1.1 2023年5月30日 - CVE-2023-2996
9.7.1 2023年7月7日 - CVE-2021-24374
7.9.1 2019年11月19日 2019年12月3日 Wordfence
Jetpack
7.0.1 2019年2月14日 2019年3月5日 Wordfence
Jetpack
6.5 2018年9月4日 2018年10月19日 Wordfence
Jetpack
4.2 2016年8月10日 2016年8月17日 Wordfence
Wordfence
Wordfence
Jetpack
4.0.4 2016年6月20日 2016年7月6日 CVE-2016-10705
4.0.3 2016年5月26日 2016年6月20日 CVE-2016-10706
3.9.2 2016年2月25日 2016年3月9日 Wordfence
Wordfence
Jetpack
3.7.2 2015年9月29日 2015年11月4日 Wordfence
Wordfence
Jetpack
3.5.3 2015年5月6日 2015年7月6日 Wordfence
Acunetix
3.4.3 2015年4月20日 2015年4月23日 CVE-2015-9359
2.9.3 2014年4月10日 2014年5月20日 CVE-2014-0173

※上記の内容は、GithubのChangelog情報を正として、バージョン13.9までを掲載していますが、それ以前のバージョンについても脆弱性が修正されたバージョンを記載しています。なおパッチバージョンが1以上の場合で、後追いでリリースされたバージョンである場合には、サポート期限については記載していません。
※バージョン13.9以下には既知の脆弱性が存在する可能性があるため、グレーにしています。

Jetpackの脆弱性情報

Jetpackの最新バージョンは13.9.1であり、当社が把握している全ての脆弱性に修正対応済みとなっています。

また、Jetpack 13.9以下のバージョンをご使用の場合には、既知の脆弱性が存在する可能性がありますので、最新バージョンへとアップデートをしてください。

なお、Jetpack自体に関する脆弱性情報で、当社が把握しているものは次の通りです。

脆弱性情報 深刻度 影響を受けるバージョン 修正されたバージョン
Wordfence
Jetpack
CVSS v3
4.3 (警告)
影響範囲が広いため、
Jetpackのリリースをご確認ください。
・Jetpack 13.9.1等。
旧バージョンに遡って修正しているため、
Jetpackのリリースをご確認ください。
CVE-2024-4392
CVE-2024-4392 Detail
CVSS v3
6.4 (警告)
・Jetpack 13.3.1までのバージョン ・Jetpack 13.4
CVE-2023-47788
CVE-2023-47788 Detail
CVSS v3
4.3 (重要)
・Jetpack 12.6.2までのバージョン ・Jetpack 12.7
CVE-2023-47774
CVE-2023-47774 Detail
CVSS v3
5.4 (警告)
・Jetpack 12.6.2までのバージョン ・Jetpack 12.7
CVE-2023-45050
JVNDB-2023-018591
CVSS v3
5.4 (警告)
・Jetpack 12.8-a.1までのバージョン ・Jetpack 12.8-a.3
CVE-2023-2996
JVNDB-2023-026812
CVSS v3
8.8 (重要)
影響範囲が広いため、
Jetpackのリリースをご確認ください。
・Jetpack 12.1.1等。
旧バージョンに遡って修正しているため、
Jetpackのリリースをご確認ください。
CVE-2021-24374
JVNDB-2021-008465
CVSS v3
5.3 (警告)
影響範囲が広いため、
Jetpackのリリースをご確認ください。
・Jetpack 9.7.1等。
旧バージョンに遡って修正しているため、
Jetpackのリリースをご確認ください。
Wordfence
Jetpack
CVSS v3
6.4 (警告)
影響範囲が広いため、
Jetpackのリリースをご確認ください。
・Jetpack 7.9.1等。
旧バージョンに遡って修正しているため、
Jetpackのリリースをご確認ください。
Wordfence
Jetpack
CVSS v3
6.1 (警告)
・Jetpack 7.0までのバージョン ・Jetpack 7.0.1
Wordfence
Jetpack
CVSS v3
5.4 (警告)
・Jetpack 6.4.2までのバージョン ・Jetpack 6.5
Wordfence
Jetpack
CVSS v3
6.1 (警告)
・Jetpack 4.1.1までのバージョン ・Jetpack 4.2
Wordfence
Jetpack
CVSS v3
9.6 (緊急)
・Jetpack 4.1.1までのバージョン ・Jetpack 4.2
Wordfence
Jetpack
CVSS v3
9.8 (緊急)
・Jetpack 4.1.1までのバージョン ・Jetpack 4.2
CVE-2016-10706
JVNDB-2016-008878
CVSS v3
6.1 (警告)
・Jetpack 4.0.2までのバージョン ・Jetpack 4.0.3
CVE-2016-10705
JVNDB-2016-008877
CVSS v3
6.1 (警告)
・Jetpack 4.0.3までのバージョン ・Jetpack 4.0.4
Wordfence
Jetpack
CVSS v3
4.9 (警告)
・Jetpack 3.9.1までのバージョン ・Jetpack 3.9.2
Wordfence
Jetpack
CVSS v3
6.1 (警告)
・Jetpack 3.9.1までのバージョン ・Jetpack 3.9.2
Wordfence
Jetpack
CVSS v3
7.2 (重要)
・Jetpack 3.7.1までのバージョン ・Jetpack 3.7.2
Wordfence
Jetpack
CVSS v3
5.3 (警告)
・Jetpack 3.7.1までのバージョン ・Jetpack 3.7.2
Wordfence
Acunetix
CVSS v3
7.2 (重要)
・Jetpack 3.5.2までのバージョン ・Jetpack 3.5.3
CVE-2015-9359
JVNDB-2015-008308
CVSS v3
6.1 (警告)
・Jetpack 3.4.2までのバージョン ・Jetpack 3.4.3
CVE-2014-0173
JVNDB-2014-002212
CVSS v2
5.8 (警告)
影響範囲が広いため、
Jetpackのリリースをご確認ください。
・Jetpack 2.9.3等。
旧バージョンに遡って修正しているため、
Jetpackのリリースをご確認ください。
CVE-2011-4673
JVNDB-2011-003194
CVSS v2
7.5 (重要)
不明 不明

※脆弱性情報については、情報セキュリティにおける脆弱性情報に付けられている番号であるCommon Vulnerabilities and Exposures(本記事では「CVE」とします)の順序に従って掲載しています。ただし、CVEの採番がなされていない脆弱性情報については、Wordfence、Jetpack、Acunetixなどの情報へのリンクを掲載しています。
※深刻度については、共通脆弱性評価システムCVSS v3に基づいていますが、CVSS v3が採用される前の脆弱性情報については、CVSS v2に基づいています。
※深刻度の数値はJapan Vulnerability Notes(本記事では「JVN」とします)及び、JVNが評価を合わせている米国国立標準技術研究所(NIST)が運営する脆弱性データベースであるNational Vulnerability Database(以下「NVD」)に準拠していますが、NVDにてスコアリングされていない場合には、Wordfence、Patchstackのスコアに準拠しています。
※本記事における脆弱性情報は、当社が把握しているものだけであり、全ての脆弱性情報を網羅できているかはわかりません。
※本記事における脆弱性情報をご利用になる場合には、必ずJVN、NVD、Wordfence、Jetpack、Acunetix、Patchstackなどの情報を確認されたうえで、自己責任でご利用ください。

Jetpackのバージョンアップを継続する体制について

前述のように、Jetpackは世界的にも人気のあるプラグインであり、Web制作の現場でWordPressを利用する場合には、よく使用されるプラグインです。

しかしながら、Jetpack自体のバージョンアップをしようと思っても、WordPressやPHPのバージョンアップが必要であったり、設定が複雑であるなどの問題に直面することもあるかと思います。

taneCREATIVE社は、「リモートによるWebアプリケーションのセキュリティ対策をパッケージ化、首都圏大手企業に提供」している点が評価され、2021年にJ-Startup NIIGATAに選定されているWeb制作会社で、JetpackとWordPressはもちろんのこと、PHP、MySQL、MariaDB、各種サーバーについてもノウハウを有しています。

※「J-Startup NIIGATA」とは、経済産業省が2018年に開始したJ-Startupプログラムの地域版として、新潟発のロールモデルとなるスタートアップ企業群を明らかにし、官民連携により集中的に支援する仕組みを構築することで、新潟県におけるスタートアップ・エコシステムを強化する取組です。

Jetpackの脆弱性への対応や保守管理に関しては、こちらのお問合せよりお気軽にご相談ください。

この記事を書いた存在
ちほうタイガー

taneCREATIVEに所属する謎のトラ。