【2024年10月版】MonsterInsightsのバージョンと脆弱性情報

皆さんこんにちは。taneCREATIVEの「ちほうタイガー」です。
この記事は2024年10月29日に執筆しています。

今回はMonsterInsightsのバージョンと脆弱性への対応状況についてまとめてみたいと思います。

MonsterInsightsは、WordPressサイトの管理画面でGoogle Analytics 4(以下「GA4」とします)のアクセス解析を閲覧できるようになるプラグインであり、Monster Insights社によって開発・サポートされています。

WordPressのPlugin Directoryの統計情報によると、アクティブインストールは300万以上、総ダウンロード数2億95万回以上を計測しており、世界でも有名なプラグインの一つと言ってよいでしょう。

一方で、有名なプラグインであるため、攻撃対象になりやすい側面もあります。

そこで、この記事では、企業のWeb担当の皆様に向けて、MonsterInsightsの概要並びに、脆弱性及びその対応状況をご紹介することで、MonsterInsightsを安心して使用していただけるようにしたいと思います。

少しでも皆様のお役に立てる記事にできればと思います。
どうぞよろしくお願い致します。

MonsterInsightsとは

前述の通り、MonsterInsightsは、Monster Insights社によって開発・サポートが継続されている、オープンソースのWordPress向けプラグインです。

このプラグインを使用することで、WordPressサイトの管理画面でGoogle Analytics 4のアクセス解析を閲覧できるようになります。

実際のところ、当社のようなWeb制作会社の場合、MonsterInsightsの無料版を利用することはあまりありません。
セキュリティ保守の観点からは、できるだけプラグインの数を増やしたくないという理由もありますし、クライアントの要望に応えるにはGoogle Analytics 4の管理画面を利用すれば済む話だからです。
脆弱性が定期的に数多く見つかっている点もお勧めしにくい点かもしれません。

しかしながら、下記機能を直感的に簡単に使用できる上に、GA4の管理画面にわざわざログインしなくてよいことから、当社がこれまでに保守を引き受けたWordPressサイトは、MonsterInsights が使用されていたことはあります。

日本国内では多く使用されているプラグインの一つという印象です。

MonsterInsightsの主な機能

WordPressダッシュボード
でのGA4データ表示
GA4のデータを直接WordPressダッシュボードに表示することで、ユーザーがGA4にログインする手間を省く機能です。
各種レポートはダッシュボード内で簡潔に表示され、視覚的に見やすく整理されているため、複雑なデータも直感的に理解できます。
基本的なトラフィック分析 Google Analytics 4(GA4)と連携し、ページビュー、ユーザー数、セッション数などの基本的なトラフィックデータを表示する機能です。
これにより、サイト全体の訪問者動向を視覚的かつ簡単に確認できます。
リアルタイムトラッキング GA4のリアルタイムデータを表示する機能です。
現在のサイト訪問者数や訪問者が見ているページなどを瞬時に把握できます。
管理画面から直接確認できるため、GA4にログインする必要がなく、アクセスが急増した場合のトレンドを即座にキャッチできます。
ページ/投稿ごとの分析 各ページや投稿のパフォーマンスを測定する機能です。
個別のページビュー、平均滞在時間、直帰率などのデータを可視化し、コンテンツの効果を評価できます。
これにより、特定のページがどれほど人気があるか、あるいは改善が必要かを把握し、コンテンツ戦略の調整に役立ちます。
簡易イベントトラッキング GA4のイベントトラッキング機能を簡単に利用できるようにする機能です。
ファイルのダウンロード、外部リンクのクリック、フォームの送信などの基本的なユーザーアクションをトラッキングし、訪問者がどのような行動をしているかを把握できます。

開発・アップデートの継続

前述のように、有名なプラグイン(ダウンロード数が多いプラグイン)は、攻撃のターゲットとして狙われやすいという側面があります。

当社では、WordPress自体は非常に堅牢なCMSであり、バージョンアップをしっかりと行えば大きな侵入のリスクは少ないと考えています。
実際に、WordPress本体(コア)の脆弱性の数はプラグインやテーマに比べて少なく、特に最近では緊急レベルの脆弱性報告は減少しています。
※詳細は、当社が公表しているWordPressの脆弱性情報一覧を参照してください。

一方で、膨大な数のプラグインやアドオンが存在し、それらの脆弱性を狙った攻撃が増加しています。
※「20 WordPress Statistics You Should Know in 2023」によれば、WordPressに関連する脆弱性の約90%はプラグインに、6%はテーマに、残りの4%はWordPressコアに起因しているとのことです。

特に、MonsterInsightsのようなダウンロード数の多いプラグインは、多くのユーザーに利用されているため狙われやすい傾向にあります。
そのため、当社では、脆弱性に対する対応が遅い、もしくは対応しないプラグインは、クライアントに推奨していません。

MonsterInsightsは定期的にアップデートされ、脆弱性が迅速に修正されているため、問題ないと考えております。

MonsterInsightsのバージョン情報に関するポイント

公式サイトに直接的な記載は見つけることができませんでしたが、MonsterInsightsでは、一般的なセマンティックバージョニングが採用されているようです。
3つの数字の左から「メジャーバージョン.マイナーバージョン.パッチバージョン」となります。

2024年10月29日現在、MonsterInsightsの最新バージョンは9.2.0であり、WordPress6.6.2までテストされています。

通常のオープンソースソフトウェアでは、公式のサポート(新機能の追加、不具合の改修、セキュリティパッチの提供)対象は最新パッチバージョンのみであることから、最新パッチバージョンへのアップデートを推奨いたします。

バージョン8.21.0以下には既知の脆弱性があるため、最新のパッチバージョンへのアップデートを実施してください。

MonsterInsightsのバージョン情報

2024年10月29日現在での、MonsterInsightsのバージョン情報は次の通りです。

バージョン リリース日 サポート期限 修正された脆弱性
9.2.0 2024年10月23日 サポート中
9.1.1 2024年9月24日 2024年10月23日
9.1.0 2024年9月23日 2024年9月24日
9.0.1 2024年8月21日 2024年9月23日
9.0.0 2024年7月29日 2024年8月21日
8.28.0 2024年7月8日 2024年7月29日
8.27.0 2024年5月29日 2024年7月8日
8.26.0 2024年4月16日 2024年5月29日
8.25.0 2024年3月5日 2024年4月16日
8.24.0 2024年2月19日 2024年3月5日
8.23.1 2023年12月18日 2024年2月19日
8.23.0 2023年12月14日 2023年12月18日
8.22.0 2023年11月29日 2023年12月14日 CVE-2023-52220
8.21.0 2023年11月13日 2023年11月29日
8.14.1 2023年4月11日 2023年5月22日 CVE-2023-23999
8.12.1 2023年1月12日 2023年3月13日 CVE-2023-0081
8.9.1 2022年10月11日 2022年11月7日 CVE-2022-3904
7.2.0 2018年9月19日 2018年10月30日 Wordfence
5.4 2015年4月20日 2015年4月21日 Wordfence
5.3.3 2015年3月19日 2015年4月20日 Wordfence
Wordfence

※上記の内容は、WordPress公式サイト開発ログの情報を正として、バージョン8.21.0までを掲載しています。また、それ以前のバージョンについては、下記脆弱性が修正されたバージョンを追記しています。
※バージョン8.21.0以下には既知の脆弱性が存在するため、グレーにしています。

MonsterInsightsの脆弱性情報

MonsterInsightsの最新バージョンは9.2.0であり、当社が把握している全ての脆弱性に修正対応済みとなっています。

また、MonsterInsights 8.21.0以下のバージョンをご使用の場合には、既知の脆弱性が存在しますので、最新バージョンへとアップデートをしてください。
特にバージョン5.3.3以下をご使用の場合には重要レベルの脆弱性が存在する可能性がありますので、最新バージョンへのアップデートを強く推奨いたします。

なお、MonsterInsights自体に関する脆弱性情報で、当社が把握しているものは次の通りです。

脆弱性情報 深刻度 影響を受けるバージョン 修正されたバージョン
CVE-2023-52220
CVE-2023-52220 Detail
CVSS v3
4.3 (警告)
・MonsterInsights 8.21.0までのバージョン ・MonsterInsights 8.22.0
CVE-2023-23999
JVNDB-2023-026261
CVSS v3
5.4 (警告)
・MonsterInsights 8.14.0までのバージョン ・MonsterInsights 8.14.1
CVE-2023-0081
JVNDB-2023-003192
CVSS v3
5.4 (警告)
・MonsterInsights 8.12.0までのバージョン ・MonsterInsights 8.12.1
CVE-2022-3904
JVNDB-2022-005689
CVSS v3
6.1 (警告)
・MonsterInsights 8.9.0までのバージョン ・MonsterInsights 8.9.1
Wordfence
Acunetix
CVSS v3
6.4 (警告)
・MonsterInsights 7.1までのバージョン ・MonsterInsights 7.2.0
Wordfence CVSS v3
7.2 (重要)
・MonsterInsights 5.3.3までのバージョン ・MonsterInsights 5.4
Wordfence CVSS v3
7.2 (重要)
・MonsterInsights 5.3.2までのバージョン ・MonsterInsights 5.3.3
Wordfence CVSS v3
5.5 (警告)
・MonsterInsights 5.3.2までのバージョン ・MonsterInsights 5.3.3

※脆弱性情報については、情報セキュリティにおける脆弱性情報に付けられている番号であるCommon Vulnerabilities and Exposures(本記事では「CVE」とします)の順序に従って掲載しています。CVEの番号が採番されていない脆弱性情報については、Wordfence、Patchstackなどの情報へのリンクを掲載しています。
※深刻度については、共通脆弱性評価システムCVSS v3に基づいています。本記事では、CVSS v3にて緊急(9.0~10.0)、重要(7.0~8.9)、警告(4.0~6.9)に区分されるもののみを掲載しており、その他の情報については、JVN iPediaなどでご確認ください。CVSS v3の適用前の脆弱性情報についてはCVSS v2に基づいて記載しています。
※深刻度の数値はJapan Vulnerability Notes(本記事では「JVN」とします)及び、JVNが評価を合わせている米国国立標準技術研究所(NIST)が運営する脆弱性データベースであるNational Vulnerability Database(以下「NVD」)や独立行政法人情報処理推進機構(以下「IPA」)に準拠していますが、NVD、IPAにてスコアリングされていない場合には、Wordfenceのスコアに準拠しています。
※各脆弱性情報には、「google analytics for wordpress」「Google Analytics Dashboard」「Google Analytics by Yoast」といったプラグイン名が記載されておりますが、MonsterInsightsと同一のプラグインです。
※本記事における脆弱性情報は、MonsterInsightsに関するもので、MonsterInsights Proに関するものは掲載しておりません。
※本記事における脆弱性情報は、当社が把握しているものだけであり、全ての脆弱性情報を網羅できているかはわかりません。
※本記事における脆弱性情報をご利用になる場合には、必ずCVE、JVN、NVDなどの情報を確認されたうえで、自己責任でご利用ください。

MonsterInsightsのバージョンアップを継続する体制について

前述のように、MonsterInsightsは世界的に有名なプラグインであり、日本国内でも人気のあるプラグインです。

しかしながら、MonsterInsights自体のバージョンアップをしようと思っても、WordPressやPHPのバージョンアップが必要であったり、設定が複雑であるなどの問題に直面することもあるかと思います。

taneCREATIVE社は、「リモートによるWebアプリケーションのセキュリティ対策をパッケージ化、首都圏大手企業に提供」している点が評価され、2021年にJ-Startup NIIGATAに選定されているWeb制作会社で、MonsterInsightsとWordPressはもちろんのこと、PHP、MySQL、MariaDBについてもノウハウを有しています。

※「J-Startup NIIGATA」とは、経済産業省が2018年に開始したJ-Startupプログラムの地域版として、新潟発のロールモデルとなるスタートアップ企業群を明らかにし、官民連携により集中的に支援する仕組みを構築することで、新潟県におけるスタートアップ・エコシステムを強化する取組です。

MonsterInsightsを使用したWebサイト制作やアップデートを含む保守管理に関しては、こちらのお問合せよりお気軽にご相談ください。

この記事を書いた存在
ちほうタイガー

taneCREATIVEに所属する謎のトラ。