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皆さんこんにちは。taneCREATIVEの「ちほうタイガー」です。
この記事は2024年11月15日に執筆しています。
今回はTablePressのバージョンと脆弱性への対応状況についてまとめてみたいと思います。
TablePressは、WordPressサイトにおいて、コードの知識がなくても簡単に表を作成・管理できるプラグインであり、Tobias Bäthgeによって開発・サポートされています。
WordPressのPlugin Directoryの統計情報によると、アクティブインストールは70万以上、総ダウンロード数1717万回以上を計測しており、人気のあるプラグインの一つと言ってよいでしょう。
一方で、人気のあるプラグインであるため、攻撃対象になりやすい側面もあります。
そこで、この記事では、企業のWeb担当の皆様に向けて、TablePressの概要並びに、脆弱性及びその対応状況をご紹介することで、TablePressを安心して使用していただけるようにしたいと思います。
少しでも皆様のお役に立てる記事にできればと思います。
どうぞよろしくお願い致します。
前述の通り、TablePressは、Tobias Bäthgeによって開発・サポートが継続されている、オープンソースのWordPress向けプラグインです。
このプラグインを使用すると、WordPressサイトにてテーブルをExcelのように入力することができるようになります。
しかしながら、実際のところ、当社のようなWeb制作会社の場合、TablePressを利用することはあまりありません。
WordPressのブロックエディタが進化し、標準のテーブルブロックでも多くの機能が実現できますし、TablePressは有料プランを導入し、無料版ではかつて利用できていた拡張機能が廃止されています。
セキュリティ保守の観点からは、できるだけプラグインの数を増やしたくないという理由もあります。
しかしながら、当社がこれまでに保守を引き受けたWordPressサイトには、TablePressが使用されていたことはあります。
日本国内では多く使用されているプラグインの一つという印象です。
基本的な表の作成・管理 | コーディングの知識がなくても、直感的なインターフェースで表を作成・編集・管理できます。 |
インポート・エクスポート | ExcelやCSV、JSON、HTML形式のファイルからのデータインポートや、作成した表をCSV形式でのエクスポートが可能です。 |
並び替え・フィルター機能 | DataTablesライブラリを活用し、表内のデータをソートしたり、フィルターを適用できます。 |
カスタムCSSのサポート | 表のデザインをカスタマイズするために、独自のCSSを適用できます。 |
前述のように、有名なプラグイン(ダウンロード数が多いプラグイン)は、攻撃のターゲットとして狙われやすいという側面があります。
当社では、WordPress自体は非常に堅牢なCMSであり、バージョンアップをしっかりと行えば大きな侵入のリスクは少ないと考えています。
実際に、WordPress本体(コア)の脆弱性の数はプラグインやテーマに比べて少なく、特に最近では緊急レベルの脆弱性報告は減少しています。
※詳細は、当社が公表しているWordPressの脆弱性情報一覧を参照してください。
一方で、膨大な数のプラグインやアドオンが存在し、それらの脆弱性を狙った攻撃が増加しています。
※「20 WordPress Statistics You Should Know in 2023」によれば、WordPressに関連する脆弱性の約90%はプラグインに、6%はテーマに、残りの4%はWordPressコアに起因しているとのことです。
特に、TablePressのようなダウンロード数の多いプラグインは、多くのユーザーに利用されているため狙われやすい傾向にあります。
そのため、当社では、脆弱性に対する対応が遅い、もしくは対応しないプラグインは、クライアントに推奨していません。
TablePressは定期的にアップデートされ、脆弱性が迅速に修正されているため、最新バージョンを使用している限り一応問題はないと考えております。
ただし、2024年10月11日に採番されたCVE-2024-9595、2024年10月7日に採番されたCVE-2024-45293など、立て続けに脆弱性が発見されていることから、TablePressをご利用になられている場合には、本記事にてご利用のバージョンが問題ないか確認されることを推奨いたします。
公式サイトに直接的な記載は見つけることができませんでしたが、TablePressでは、一般的なセマンティックバージョニングが採用されているようです。
3つの数字の左から「メジャーバージョン.マイナーバージョン.パッチバージョン」となります。
2024年11月15日現在、TablePressの最新バージョンは2.4.4であり、WordPress 6.6.2までテストされています。
通常のオープンソースソフトウェアでは、公式のサポート(新機能の追加、不具合の改修、セキュリティパッチの提供)対象は最新パッチバージョンのみであることから、最新パッチバージョンへのアップデートを推奨いたします。
バージョン2.4.2以下には既知の脆弱性(重要レベル)があるため、最新のパッチバージョンへのアップデートを実施してください。
2024年11月15日現在での、TablePressのバージョン情報は次の通りです。
バージョン | リリース日 | サポート期限 | 修正された脆弱性 |
2.4.4 | 2024年10月15日 | サポート中 | - |
2.4.3 | 2024年10月9日 | 2024年10月15日 | CVE-2024-45293 CVE-2024-9595 |
2.4.2 | 2024年9月10日 | 2024年10月9日 | - |
2.3.2 | 2024年6月4日 | 2024年7月16日 | CVE-2024-4354 |
2.2.5 | 2024年1月30日 | 2024年4月2日 | CVE-2024-23825 |
2.1.5 | 2023年7月5日 | 2023年8月15日 | CVE-2023-33999 |
1.10 | 2019年11月12日 | 2020年3月31日 | CVE-2019-20180 |
1.8.1 | 2017年10月3日 | 2017年12月3日 | CVE-2017-10889 |
※上記の内容は、Changelogの情報を正として、バージョン2.4.2までを掲載しています。また、2.4.2以下のバージョンについては、下記脆弱性が修正されたバージョンを追記しています。
※バージョン2.4.2以下には既知の脆弱性が存在するため、グレーにしています。
TablePressの最新バージョンは2.4.4であり、当社が把握している全ての脆弱性に修正対応済みとなっています。
また、TablePress 2.4.2以下のバージョンをご使用の場合には、既知の脆弱性(重要レベル以上)が存在している可能性がありますので、最新バージョンへとアップデートをしてください。
なお、TablePress自体に関する脆弱性情報で、当社が把握しているものは次の通りです。
脆弱性情報 | 深刻度 | 影響を受けるバージョン | 修正されたバージョン |
CVE-2024-45293 CVE-2024-45293 Detail |
CVSS v3 7.5 (重要) |
TablePress 2.4.2までのバージョン | TablePress 2.4.3 |
CVE-2024-23825 JVNDB-2024-002049 |
CVSS v3 4.9 (警告) |
TablePress 2.2.4までのバージョン | TablePress 2.2.5 |
CVE-2024-9595 CVE-2024-9595 Detail |
CVSS v3 6.4 (警告) |
TablePress 2.4.2までのバージョン | TablePress 2.4.3 |
CVE-2024-4354 JVNDB-2024-004542 |
CVSS v3 6.4 (警告) |
TablePress 2.3.1までのバージョン | TablePress 2.3.2 |
CVE-2023-33999 Wordfence |
CVSS v3 6.1 (警告) |
TablePress 2.0から2.1.4までのバージョン | TablePress 2.1.5 |
CVE-2019-20180 JVNDB-2019-014143 |
CVSS v3 6.8 (警告) |
TablePress 1.9.2バージョン | TablePress 1.10 |
CVE-2017-10889 JVNDB-2017-000236 |
CVSS v3 5.0 (警告) |
TablePress 1.8までのバージョン | TablePress 1.8.1 |
※脆弱性情報については、情報セキュリティにおける脆弱性情報に付けられている番号であるCommon Vulnerabilities and Exposures(本記事では「CVE」とします)の順序に従って掲載しています。CVEの番号が採番されていない脆弱性情報については、Wordfenceなどの情報へのリンクを掲載しています。
※深刻度については、共通脆弱性評価システムCVSS v3に基づいています。本記事では、CVSS v3にて緊急(9.0~10.0)、重要(7.0~8.9)、警告(4.0~6.9)に区分されるもののみを掲載しており、その他の情報については、JVN iPediaなどでご確認ください。CVSS v3の適用前の脆弱性情報についてはCVSS v2に基づいて記載しています。
※深刻度の数値はJapan Vulnerability Notes(本記事では「JVN」とします)及び、JVNが評価を合わせている米国国立標準技術研究所(NIST)が運営する脆弱性データベースであるNational Vulnerability Database(以下「NVD」)や独立行政法人情報処理推進機構(以下「IPA」)に準拠していますが、NVD、IPAにてスコアリングされていない場合には、Wordfenceのスコアに準拠しています。
※CVE-2024-45293は、PhpSpreadsheetに関する脆弱性ですが、TablePressがPhpSpreadsheetを利用しているため、TablePressにも影響を及ぼします。この脆弱性に対応するために、TablePressはバージョン2.4.3で修正を行いました。
※CVE-2023-33999は、Freemius SDKに関する脆弱性ですが、TablePressがFreemius SDKを利用しているため、TablePressにも影響を及ぼします。この脆弱性に対応するために、TablePressはバージョン2.1.5で修正を行いました。
※CVE-2019-20180については、JVN、NVD、CVEとWordfenceの情報が異なりますが、内容を読む限りWordfence側の脆弱性はCVE-2019-20180とは別の脆弱性の可能性があります。このため、JVN、NVD、CVEを正として記載してあります。
※本記事における脆弱性情報はTablePress無料版に関するもので、TablePress有料版に関するものは掲載しておりません。
※本記事における脆弱性情報は、当社が把握しているものだけであり、全ての脆弱性情報を網羅できているかはわかりません。
※本記事における脆弱性情報をご利用になる場合には、必ずCVE、JVN、NVD、Wordfenceなどの情報を確認されたうえで、自己責任でご利用ください。
前述のように、TablePressは人気のあるプラグインであり、日本国内でも利用者は多数いるものと推察されます。
しかしながら、TablePress自体のバージョンアップをしようと思っても、最新のWordPressで上手く動かなかったり、PHPのバージョンアップが必要であったり、設定が複雑であるなどの問題に直面することもあるかと思います。
taneCREATIVE社は、「リモートによるWebアプリケーションのセキュリティ対策をパッケージ化、首都圏大手企業に提供」している点が評価され、2021年にJ-Startup NIIGATAに選定されているWeb制作会社で、TablePressとWordPressはもちろんのこと、PHP、MySQL、MariaDBについても知見を有しています。
※「J-Startup NIIGATA」とは、経済産業省が2018年に開始したJ-Startupプログラムの地域版として、新潟発のロールモデルとなるスタートアップ企業群を明らかにし、官民連携により集中的に支援する仕組みを構築することで、新潟県におけるスタートアップ・エコシステムを強化する取組です。
TablePressを使用したWebサイト制作やアップデートを含む保守管理に関しては、こちらのお問合せよりお気軽にご相談ください。
taneCREATIVEに所属する謎のトラ。