ど田舎から始めるWeb制作会社戦記  ~このページは99%ファンタジーです~

第13話 保守担当者は焦っている

彼は制作運営部のリーダーであり、主にサイト運用段階でのコーディング業務に従事している。
リーダーという響きが似合わない気弱キャラでもある。
こんにちは、実はシャイなちほうタイガーです。
あ…そこタグ閉じ忘れてるよ。

「あの…今就業体験の担当中なんですけど…」

…当社絶賛不人気みたいだし、今はその子一人しかいないみたいだし大丈夫じゃない?

「…いえ…さっきまで結構混み合ってましたよ。でもやっぱりHTML講座は少し地味でしたかねぇ…」

まぁ多分…ノーコードで作れるブラウザゲームとかの方がお子様ウケはいいのではないかなと…

「…準備が大変なので流石に厳しいかと…」

…まぁそれはさておき、ど田舎から始めるWeb制作会社戦記の取材をしてしまいましょう。
もはや定番の質問からですが、この会社に入るまではどんなキャリアを歩んでたんでしたっけ?

「えーっと、高校を出た後は公務員になる為の専門学校に進んで、その後花屋の店員をしていました。その後3年間くらい介護施設の事務員兼現場のお手伝いをしてから、この会社に転職しました」

いや、本当にこの会社のスタッフの前職、いろいろありすぎておかしいんだけど、それにしても花屋の店員と介護施設スタッフとは…少し似合ってる気もするけども…

「専門学校もその後の就職・転職も、正直言って『なんとなく』だったので…この会社への転職も前職が体力が必要な仕事で、自分では続けられなさそうと思ったというだけの理由でしたし…」

そういえば入社時からずっとスタイル細いままだよね…体力勝負の職場には向かないかも…

「あっ…でもこの会社には面接の時から『ここに入りたい』って本当に思いました。それは凄く鮮明に覚えてます」

あれっ…そうだったんですね、しかしどうしてまたこんな会社に入りたいと思ったんです?

「面接の時…まず、この本社が見つからなくて…焦って会社に電話をして第3話の彼女さんに入り口までお迎えに出てもらって見つけてもらって…それでいざ会社に入ろうとしたら入り口もくぐり戸だし…この会社普通じゃないって更に焦った記憶があります」

まぁ…この会社看板も出してないもんね…外から見たら単なる古民家だし…それからそれから?

「それから広い土間に圧倒されて、箪笥階段を上るよう言われて、天井をスライドで開けて、隠し部屋みたいな和室に通されて、今は会議室になってますけど…当時は畳がひいてあって、ちゃぶ台みたいな小さなテーブルが一台置いてあるだけの部屋で、そこで正座をして面接官を待ってたら…」

…面接官と言えば…第1話の彼ですな…

「はい、その第1話の彼が部屋に上ってきて…」

…上がってきて?

「いきなり目の前で倒れました」

…うわーありそう…いや『ありそう』とか思ってしまうあたりでもうおかしい自覚はあるけど…
ちなみに『ぐへぇ…』とか言いながら派手に倒れた感じです?

「いえ…膝から崩れ落ちるような感じで静かに…推理モノの漫画とかでよくダイイングメッセージを書きかけてるような態勢に移行しました」

あっ…一応下の部屋の邪魔にならないように気をつかってたんだ…

「倒れてからしばらくは『もう駄目だ…』『死んでまうぅ…』とか言ってましたね。その後その態勢のまま面接が進んで、『こんなやばい会社でも入りたいの?』って聞かれたので、『入りたいです!』って伝えたら、その場で『採用』と言われました」

…意味がわからないことばかりだけど…とりあえず一番聞きたいことを一言で…
どうしたら『入りたいです!』になるわけ!?

「いや…倒れた時は前日飲み過ぎたのかな…死ぬほど辛い二日酔いなのかなとか思ったんですが、とにかく衝撃的すぎて…おもしろいって思ってしまいました。まぁ後で別に二日酔いとかだったわけではないと聞きましたけど…」

…多分あれだね、第1話の彼的にはしんどい仕事であることをアピールして反応を見ようとしたけど、予想外にポジティブな回答が返ってきて採用してしまったというパターンですな…それでこの会社に入ってからはどうでしたか。

「3年以上お世話になってますけど、本当にあっという間でした。スキル面ではまだまだだと思います。
制作運営部所属でスタートして、一度途中で第一開発部に転籍させてもらって、フロントエンジニア専門に挑戦させてもらいましたけど、納期に追われて焦るし精神的に苦しくて…制作運営部に戻していただいて、今ようやくコーディングが面白くなってきた感じです。」

ふむふむ、そうすると今は焦りがない精神状態を手に入れた感じです?

「…いえ…別の問題で焦ってます…」

ほうほう、どんな焦りか教えてもらってもよいでしょうか。

「…結婚できなくて焦ってます…彼女無しで気づいたら数年たってたし、周りも皆結婚しているし…」

切実な焦りキター!
佐渡だけじゃないと思うけど、ど田舎ってみんな結婚早いよね…

「出会いがないんです! 今は新型コロナで飲み会もないし、社内でもプライベートな話をする機会もないですし…友達にも紹介してと頼んでいるけど紹介してくれなくて…」

あれ…ついこの間も同じ取材で似たような話を聞いたような…
第5話の彼女の戦記ちゃんと読んでる?

「あっ…いえ…2~3人分は読みましたけど、あとは読んでなくて…」

くぅ…せめて社内のスタッフくらいは読もうよ…頑張って書いているのに…

「す、すみません…後で読んでおきます」

まぁいいか…どうせ誰も読んでいないだろうことは覚悟してたわけだし…ということで、気兼ねなくここで彼女募集してみては?

「ここでですか!?」

ほれ、条件とか好みとかをどうぞ。

「条件…5年以内に結婚したいので結婚を前提とした彼女がほしいです。好みは自分が積極的な方ではないので明るい人がいいです。見た目はかわいい系が好きです。…あとは特に思いつきません…」

普通過ぎて掘り下げる箇所がない…最後にこの会社の良いところと悪いところを教えてください。

「この会社の良いところは堅苦しくないところだと思います。場所的なものもあるかもしれませんけど家みたいな雰囲気です。いい意味で会社っぽくないかな。

悪いところは冬に滅茶苦茶寒いところですね。夏はまだクーラーが効くから大丈夫ですが、冬はマジでヤバイです。
今後制作運営部が第二拠点の土蔵に移ると聞いているので楽しみです」

土蔵に移るのが楽しみとは…意外にポジティブ…

「この取材も自分がどんな属性や種族になるのか楽しみです」

ソコが楽しみなの!?
クックック…まぁ良いわ、ソコは我に決定権がある故、後々焦ると良いわ!
ちなみにどんな属性と種族がよいです?

「できれば誰でも知ってるゲームの属性と種族で…カッコイイやつをお願いします」

誰でも知ってるゲームっぽくね…了解した。

ヒカル.H

ヒカル.H

属性
じめん
種族
リス
称号
灯火を探すもの
フレーバーテキスト
彼は薄暗い小路を漂っている。
光をともす存在を見つけることができれば、焦燥は消し去るのかもしれない。
Give light, and the darkness will disappear of itself.