ど田舎から始めるWeb制作会社戦記  ~このページは99%ファンタジーです~

第12話 フロントエンドエンジニアは浄化されかけている

彼はフロントエンドエンジニアのリーダーである。
第8話の彼が第二開発部のリーダーであるなら、こちらは第一開発部のリーダーである。
リーダーではあるが漆黒のオーラを纏う病弱キャラである。
こんにちは、仮病で長期自宅療養とかしてみたいちほうタイガーです。

「それってただの引きこもりなのでは…」

…そうとも言うかもしれません。
それはそうとして、はいようやくネタ人枠復活。ネタウエルカム!

「え………ネタ人枠………僕がですか…」

どこからどう見てもそうだと思います。ちょっと3人続けて常識人枠の取材が続いたのでここで犠牲者に…ではなく活躍してもらおうかなと思います。

「…………今犠牲者って…」

…さて、気を取り直して定番の質問からですが、この会社に入ってしまったエピソードなどを一つおねがいします。

「この会社に入る前は…元は東京のWeb制作会社でコーダーをしていたんですが、そこが極度のブラック企業で体をかなり壊してしまって…その後新潟市で療養しながらフリーライターを始めたんですが、フリーライターだけでは食べていけなかったので、寿司の配達をやっていました」

はいディープだけどちょっと意味不明な人生キター!
しかしこの会社ではこの程度ではネタとは言えまい。それでどうして佐渡島に?

「ネタにしてほしいわけじゃないんですけど……まぁでも好きにしてくだい…続けますと、彼女との結婚を視野に入れて生活を安定させるために定職を探したんですが、新潟ではどこにも採用されなかったので、実家があって生活は最低限度維持できる佐渡に戻って職を探そうということになって、この会社に入りました。一応Web制作会社に居たこともあったので…」

…あー第1話の彼から昔聞いたことがあるかも。『圧倒的な負のオーラを纏った者を採用してしまった、後悔はしていないが、やっぱ無理だったかも…』とかなんとか。

「そうですね、今思えば当時は僻んでいたし、自分が採用側だとしてもあの頃の僕を採用しないと思います。この会社の面接でも第1話の彼にそこははっきり言われたので…」

徐々にネタっぽくなってきましたね…ちなみになんと言われたんです?

「『履歴書の写真がにらんでいるみたいじゃないか、ちゃんと写真をとって出そうぜ。この履歴書だったらどこも取ってくれないと思うよ』…とか『負のオーラがやばすぎる。これは面接も通らないわ』とか」

面接官が『面接通らないわ』とか言っちゃうあたり…完全に第1話の彼ですね。

「昔の作品を持っていったら、『こんなソースコードが通用するとでも?』とか『デザインの才能も壊滅的に無いね』とか」

うわー言いそう…想像できるわ…

「まぁ今の自分がそれを見たら同じこと思うと思います。言いませんけど…」

…まぁ普通は口に出さないよね…それでどうして今こうなっているんです?

「『うーんコーダーとしてなら鍛え直せばなんとかなるか…?いや大丈夫かマジで視えない…仕方がない3ヶ月間ほど試してみるか…4時間勤務のパート契約で、残りの時間はコーディングの勉強し直してみる?オンライン講座は会社で買っておくから』ということになって、その後社員になって今に至る感じです」

数年前のことをよくそんなに明確に覚えてますな…でも、今の会社の採用状況からは想像できない…いや程度の問題はあるけど縁のある者が自然と集まるだろうという発想は変わらないか…
それで、この会社での数年間はどうでしたか。

「昔Web制作会社にいたし、オンライン講座で勉強もしなおしたので直ぐにフロントエンドエンジニアとして活躍できるかなと思ったら、実際はディレクション業務のヘルプとか情報整理などの雑務が多くて『なんか違うなー』くらいに最初は思ってました。その内にこの会社のフロントエンドエンジニアに要求される知識とスキルがかなり広くて深いことが分って絶望しました、入社して2年間位の話です」

はい絶望キター!それからそれから?

「3年目以降天狗になって、正当に評価してくれない会社を恨みました」

はい、天狗からの恨み入りましたー!
しかし3年目で天狗とか、第1話の彼にボコボコにされるでしょうに…

「はい、それはもう論理的にボコボコに…それでも自分のなかでは結構出来ているのではないかという根拠のない自信があって、自分の能力や努力をわかろうとしない第1話の彼は苦手だな…位にしか思ってませんでした」

典型的なコンプレックスの裏返しの思考パターンですな…。
でもその割に今の負のオーラ…大分薄くなってるんですけど…浄化された?

「…浄化かどうかはわかりませんけど、ちょっと前に大きな病気をしてしまって…2ヶ月位休んだんですけど、リハビリしている時に色々考えて…まずは否定から入る人生を送ってきたけど、新しいことに挑戦する機会を自ら手放してたんだな…もったいないことをしてたな…とか、昔所属していた東京のWeb制作会社だったらクビになてったな…もし戻れたら、仕事に関してもイヤイヤではなく自発的に新しいことにチャレンジしてみようとか考えて…少しは変われるといいなと…そうしたら…」

そうしたら…?

「そうしたら急に視界が開けて、逆に一気に自分がわからないこと、知ろうとしなかったことが見えてきて、しんどかったけどチームのフォローがあったのでなんとか助かっているという感じです」

覚醒した…だと!?

「あとは後輩が優秀過ぎて…直ぐに追い抜かれそうなのでフロントエンドだけは負けないように頑張ろうと…」

…あぁ…特に今年の新人達のレベルは高いよね…こんなど田舎のWeb制作会社の何がよいのやら…

「僕が昔いた東京Web制作会社では調べても分らないことを『教えてほしい』と聞ける雰囲気じゃなかったし、聞いてみても露骨にイヤな顔をされたり断られたりしたんですが、この会社でとことん教えてもらえたのは感謝してます」

…確かに教え合う雰囲気はあるかもしれないね。他のWeb制作会社のこと知らないからなんともいえないけど…ちなみに病弱キャラの休日はどんな感じか聞いてもいいですか?

「バイクが趣味なんでツーリングしてます。愛機はYZF-R1です」

リッターバイクかいっ!本当に病弱キャラなの!?

「病気をしてから流石にYZF-R1を操るのが大変になってきたので、そろそろ乗り換えをしようとは思ってます。Z900RSが欲しいなと」

…この会社、Shell ADVANCEのWebコンサルティングを担当してこと知ってる?…ここはやっぱりドゥカティでは?

「ドゥカティはパーツが高いので…もう少し給料が上がらないと…あ、カワサキですけどエンジンオイルはShell ADVANCEを使いたいと思います」

…ちなみにソロツーリングって楽しいの?

「彼女の休日が合えば一緒にツーリングしてます。ソロの時もありますけど…彼女も『楽しい』とは言ってくれてますけど本当はどうかはわかりません。でも僕は楽しいです」

行動が陰の者じゃないんですけど!?
負のオーラが薄まった真の理由は彼女の存在じゃねぇの!?
…最後に今後の抱負などをお願いします。

「佐渡へ帰ってきてから生活の基盤を整えたり、新型コロナ禍になったりでまだ彼女の実家に結婚の挨拶に行けてなくて…コロナが収まったら入籍したいなと…あとは、健康になりたいのと、フロントエンドを極めて居場所をつくりたい。社内で頼られる存在になりたいです」

第1話の彼は個人面談とかでなんと?

「『一見いい話っぽいけど、佐渡島まで一緒に来てくれた彼女と数年たってもまだ結婚してないって時点で駄目でしょ…ちゃんとした方がよくね?』と…言われました」

…確かにその彼女、大切にしたほうがイイトオモウヨ…

ヨシヒロ.I

ヨシヒロ.I

属性
暗黒属性
種族
健康第一族
称号
浄化されし者
フレーバーテキスト
彼は人生の転換に挑戦している。
暗闇から抜け出そうと進み続ければ、いつか陽のあたる場所にたどり着けるであろう。
And once you are awake, you shall remain awake eternally.